彼の話

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ネガティブなリアリストたち - 「音楽と人」SixTONESインタビューに寄せて

 

音楽と人」2020年8月号に掲載されたSixTONESのインタビューを読みました。

ongakutohito.com

なんかあちこち品切れてる。在庫復活したらみんな買ってください!!!!!!

 

あの、あの「音楽と人に、まさかSixTONESが載る日が来るなんて、それもこんなにも早く来るなんて。発売をめちゃめちゃ楽しみに待ってました。

インタビューを読み終えて。

グループで語らうのではなく六人それぞれに話した、聞き手と一対一の、シンプルな数十行のインタビュー。バラバラに語られたはずの六本が、妙にシンクロしてひとつに重なる感覚が残りました。

「ネガティブ」な「リアリスト」。

夢を見せるアイドル、それもぴかぴかのデビュー1年生らしからぬその特徴が、けれど彼らにしかない魅力の素なんだと思いました。

 

以下、ひとりひとりのインタビューに寄せて、感想文というかなんというか。

彼のここが好きだよー、というだけの話です。SixTONESファンとしては永遠の新参者なので浅いのでごめんなさい。もし邦ロック好きでこの記事にたどり着いた方がいたら、彼らのことをちょっとでも気になって、音楽を愛するSixTONESの歌う楽曲を聴いて、「おっ」と思ってくれることを願っております。。

ちなみに、楽曲に取り組むSixTONESの姿はひとまずこちらのデビュー曲「Imitation Rain」のレコーディングムービーをぜひご覧いただきたいです。ぜひに。

youtu.be

 

 

ジェシー「過度な期待はしない」「みんなと違う自分を最初から好きになってくれることってきっとない」「自分が信じたものだけを道標にすればいい」

グループのシンボリックなセンターで、喋れば底抜けに賑やかで明るい太陽のような存在、というのが、基本的な彼のイメージ。インタビューの中でもさらっと語られたけど、彼が声をかけたことにより一度はバラバラになった六人が再度集ってSixTONESになり……という少年漫画バリのあらすじからも、求心力ある"陽"の存在だということを察していただけるかと。

そんなグループの要であり顔である彼から真っ先に飛び出すワードが、「諦めかけてた」「期待してはがっかりする」。順番通りにまず彼のインタビューから読み始めたSixTONESをよく知らない方々が、デビューしたてのアイドルから発されたこの言葉たちをどのように感じたのか、結構気になっています。

本当のところは究極、当人にしか分からないことだけど、彼らはめちゃくちゃに不遇ってわけではなかったと思います。それぞれ、早い段階からかなり推されていて、ただ強烈なスポットライトを浴びた時期があったからこそ、光の当たらなくなった時期の落胆とか(多感で未熟な10代だからなおさら)、心の深いところに感じるものがたくさんあった、紆余曲折のこれまでだったのだと思います。

私は、彼らSixTONESの好きなところのひとつに「グループの中で自分が担うキャラクターに自覚的である」ことを挙げます。彼に限らず、六人全員みんなそうです。

彼は賑やかで、モノマネや一発ギャグをたくさん繰り出してはSixTONESにひときわ明るい空気を作り出すキャラだけど、生まれついてのネアカではない。昔は全然喋れなかった、と今の彼からはなかなか想像しがたいような過去があって。ただ昔と言ったってせいぜい数年前。それが今や、ゴールデンのバラエティや全国ネットのワイドショーでゴリゴリに一発ギャグかませる強心臓を得る、ここに至るまでの自覚的な努力たるや。無自覚な太陽はもちろん周囲を照らすけど、彼の明るさは、無自覚でないからこそより強く、周囲に影響を及ぼし、パワーを与え、何かを動かすのだと思います。

そんな彼のパフォーマンスの魅力は、彼自身の中に絶えず音楽が鳴っているようなところ。抽象的ですが。歌もダンスも、些細な動きさえ、音楽——それ以前に、もっと原始的に、"音を楽しむ"ことが、血に流れている。今どきのサウンドから、昭和のロック、ジャズの名曲まで、いつの時代の音楽も彼の歌声には微笑みかける。

気合入れたレコーディングの歌唱力はもちろんですが、ライブパフォーマンスのアドレナリン大放出の生歌も煽りも最高。彼が最も輝くのは生のステージだと思います。一刻も早くライブができるようになりますように。

 

京本大我京本大我という人間にあんまり自信がない」「6人でやったらどう見えるか、それは意味があるのか、だけは徹底的に」

京本大我という人間にあんまり自信がない」、その美貌でそんなこと言う?と外野は無責任に思ってしまう。ほんと無責任です、我ながら。

見た目って生まれもってのものだから、醜くければ人生茨の道だし、いうほど酷くなくても欠けたところが一度気になってしまったらコンプレックスが深く根を張るし、だから、美しくても、それと同じこと。

あの美貌だから、そして父親が京本政樹だから、彼もまた、望まない偏った見方をされてきたのだと思います。外野の想像を絶するほどに。

彼の歌は、まばゆく発光するような、透きとおったハイトーンの美声が絶品の武器。「どの曲を聴いても京本大我だねって思わせるような強いアクを持ってるタイプじゃない」けれど、「聴く人には京本大我の声だって伝わる」と彼自身も語る通り、あの歌声は唯一無二でしょう。

そして彼は、アイドル、それもメジャーデビューもしていない身でありながら、日本のグランドミュージカルを代表する作品のひとつであるミュージカル「エリザベート」のキャストに抜擢され、錚々たる俳優たちの中に混じって出演し続けてきました。それが示すのは、彼が高い歌唱力に表現力までもを持ち合わせている、ということ。けれど彼もまた小さい頃は音痴で歌が苦手だった……とかいうからほんとこの人たちってなんなんだろうなと思います。信じがたいけど本当の話。

彼は、天賦の才×努力型、というめちゃめちゃ強い人間です。

生まれもった美しい外見、唯一無二の声。けれど外見に甘えることなく訓練を積み重ねて、外のフィールドでも歌の実力で評価されるまでになる。そして、往々にして歌に注目されがちですが、彼はダンスも完全なる努力型です。鍛え上げられた体幹と自らを律するストイックさがなければ不可能な、軸がブレない、指先まで全身のコントロールが効いたダンスを踊ります。

見た目や肩書きで評価されてしまうことを知っていながら、知っているから、自分自身にしかない本質を徹底的に突き詰める。彼のパフォーマンスは、そうしてストイックに磨き上げられたもので、これからもさらに研磨され続けていくものだと思います。

 

松村北斗「決める場面でしっかり決めるような人になりたかった」「自分たちにできる一番いい方法がそれだから、その道を進む」

SixTONES、履歴書を送ってオーディション受けてジャニーズJr.になりました、という正攻法のはずの入り方がなぜかレアケースのほう、という珍妙なグループです。面白くて好き。ただ、正攻法ルートの彼も、山下智久に憧れて都合三度も履歴書を送り——つまり二度も見送られ、三通目の履歴書も見送られそうになっていたところが偶然目に留まって拾われて、というそれはそれでレアケース。

彼は、アイドルでありながら同時にファン心理を持っている人だと思います。

そもそも"山下くん"に憧れ、"山下くんみたいになりたい"というのが最初の原動力。彼のいう「ジャニーズの王道」とはブザービーターを決めるような人間であり、そして彼は、そんなスーパーヒーローを"見ている"側の人間だったのだと思います。

他誌のインタビューからの引用ですみませんが、

「僕にとって今の仕事は生涯のものだと思っているけど、もっと早く"単純に観ることが好き"と気づいていたら、アイドルになっていなかったかもしれない」

という発言が、すごく印象に残っているんです(2019年の「anan」No.2180)。

今でこそ、そういうふうに自分を見つめて、憧れるけれど合わない服を無理に着るのではなく、自分に似合う服を着こなして魅せることができ、その姿をたくさんのファンに熱烈に想われている彼ですが、生まれもっての性質はファン側だった。それに気づかない幼い心で、憧れだけに突き動かされたまま履歴書を送り続けてくれて、本当によかったなと思います。辛い時期があったとしても。

憧れたものにはなれないと知ったからこそ、彼もまた努力を重ねて、等身大の自分に似合う服を知り、着こなしてきたタイプの人間ですね。

エピソード的にはわりと直近なのですが、グループ内での歌に関しても、彼は自分に似合う服、を見つけていて。デビュー曲「Imitation Rain」を作る過程での話です。

https://youtu.be/qFQbWJC4nwQ?t=160

冒頭にも貼りましたが2回目のリンクですみません……2:40あたりから。「ずっと歌における自分のポジションがなくて困っていた」「低音が太く出るのが良い、と音楽チームの人に言ってもらった」「やっと見つけた居場所なので伸ばしていきたい」。

SixTONESのメインボーカル、ジェシーの温かみのある声と京本大我のまばゆいハイトーンのハーモニーは他に無い武器なのですが、そこに彼のハモりが加わると、彼は基本的には低音のハモりが多いのですが、ベルベットのような柔らかさとしっかりした厚みのある低い声によって、歌の持つ物語性の奥行きがグッと広がります。

ブザービーターを決める人じゃないけれど、彼にしかできないことを着実に見つけてひとつひとつ身につけていく姿は、多くの人々の、ある種"共感"を呼ぶのではないかと思います。

 

髙地優吾「みんな小心者」「失敗するとわかってそうする根性もない」「SixTONESという看板を利用して自分たちができることをやって、みんなを笑顔に」

「法律には触れないギリギリの状態で、好きな人は超ハマる」という喩えがあまりにもヤカラすぎて笑ってしまった。

法に触れなきゃセーフ精神。やったもん勝ち精神。ちょっとぐらいヤバくても結果美味しけりゃOK精神。人の好い笑顔が特徴で、他がわりとイカつい感じだったり近寄りがたい感じだったりのメンツの中で唯一「あ、この人は優しそう」みたいな印象抱かれておきながら、実際は一番根がヤンキーなのがすごくギャップ効いててそこが好きです。

ハイエナみたい、と言うけど、彼が一番のハイエナかもしれない。

彼の入所は超レアケース。バラエティ番組のオーディションで芸能界入り、その翌々月にCDデビュー、同年末には紅白歌合戦出場。冷静に意味わからん階段の駆け上がり方をしている(駆け上がり、というかもはや連れ去られたというか)。番組はそこから10年選手。今年で12年目。そこそこの売れっ子芸人でも10年以上レギュラーを持ち続けるってそうないことだと思うので、これから先、もっともっと貪欲にバラエティに進出してほしいなと勝手に願っています。牙を隠した笑顔のハイエナ。

つかみどころのない人だな、と思っています。

常に二面性のあいだでふわふわしているというか。「弱さを隠そうともしないし、それでいて力強さをグッと見せてくれる場面もあって」とインタビュアーも言うように。ニコニコしながら言うことは全然平和的じゃないし、でもべつに喧嘩っ早いわけでもない。ええかっこしいじゃなくてイジられ役を引き受けてくれるけど、なんでも許せてプライドがないわけじゃない。

こう在りたい、こう見せたい、という欲がなく、本当にただ素直に思ったままそこにいるから、そう見えるのかもしれない。人間って、本来はいろんな面を持ち合わせている生き物だと思うので。

ただ、「自分のキャラクターに自覚的である」というのはもちろん彼もそうです。

ニコニコ笑顔——アイドルの基本中の基本のはずのそれが、このグループではひとつの特徴になってしまう。他のメンツがそれぞれ飛び抜けたものを持っているからこそ、ベーシックな"アイドルでいること"が彼の武器になる。もしもグループ内に他にもニコニコ笑顔のアイドルがいたら、違うキャラ付けをしないといけなかったでしょう。ジャニーさんに「いるだけでいい」と言われた彼です。彼が素直なまま「いるだけ」でひとつ武器になるグループに彼がいること、わりと奇跡的な巡り合わせ。

そして、それに甘えることなく、遺された「いるだけでいい」の言葉の意図を想いながら、自分の存在価値を考えながら、「いるだけでいい」存在でいられるよう努力を続けるところに、彼がSixTONESである所以があるのだと思います。

 

森本慎太郎SixTONESらしさというものをグループの中で一番わかってない」「何が正解かわかってないから……今はめちゃめちゃ幸せ」

六本のソロインタビューを読み終えた頭に浮かんだワードが、「ネガティブ」「リアリスト」でした。その観点で引っかかっていたワードを見出しに抜粋してきたのですが、彼に関して言えば「ネガティブ」は当てはまらないかも……というか、「ネガティブ」と「それを吹き飛ばすポジティブ」を持っているのかも、と思います。

正解が見えないから、面白い。批判されてもいいから、やりたいようにやる。先を知りたくないから、今考えて今できることをその場でやる。わからないことを探すのは、楽しい。

単なるポジティブシンキング100%で突っ走っているわけではない。正しい現状や、起こりうる可能性はちゃんと想定していながら、それでもなおポジティブに取り組もうとする姿勢がある。ネガティブなことをそのままネガティブに捉えないでいられる精神の強さ、そしてロングスパンの視野がある。「わからない」という目先のネガティブでいっぱいいっぱいにならずに、それに今取り組むことを考える。それはいずれ、良い結果となって還ってくるだろうと思います。

自分のことに関してはわからないと言いながら、国内外の音楽シーンに関しては流行の動きも含めて広く俯瞰的に見ているのが印象深いですね。海外で今ヒットしている音楽だから良いに決まってる、ではなく、自分たちが売り出していくところが今現在の日本のマーケットであることをきちんと考えている。いくら世界で最新のめちゃくちゃアツい音楽でも、日本ではアンテナを敏感に張っている人にしか刺さらない。

※個人的には、SixTONESはグループのカラーとしても、自分たちのモノにできる音楽の幅広さにしても、大衆受けするヒットソングを狙うよりもいかにSixTONESとしての音楽性を極められるか、という方向にしっかり舵を切っていってもいいんじゃないかと思うのですが、とはいえ断然数字がモノを言う世界でもあるので(SixTONESの音楽がヒットソングになればそれはもう素晴らしいですが)、これは個人的な願望です。。まあまだデビューして半年も経ってないですし。。

彼の、先のことをあれこれ思い悩むより、地に足をつけて一歩ずつ、今できること今本当にやりたいことを今やっていく、というのがものすごく現実に即した建設的な思考で、とてもかっこいい。

これはデビュー前の彼らの色々なインタビューなどを読みながら感じていたことですが、今はまだもうちょっと浮かれてたって全然許容の時期だと思うんです。デビュー決まったからね、若いからね、ってまだ許される。

でも、ゴリゴリに地に足ついている。しかも、地に足をつけて着実にやっていくのだと、意識して現在地を踏みしめている。彼も彼で、もう子どもの頃からいろいろな環境に揉まれてきたわけですから、普通の22歳(もうすぐ23歳、おめでとう)と同じ経験値と思ってはいけないわけですが。彼に限らずですけど、諦めや挫折を自らの体験で知って、そして腐らずにいられた人は強いなと思います。

 

田中樹「できるのはお喋りとラップだけ」「ビルボード1位とかグラミー賞を取れるような存在に僕らがなりたい。そしたら何か変わる気がする」

彼は、意識的にあえてネガティブなワードを口にしている人だと思っています。本当はどうだか知りませんが、個人的には。

SixTONESのパフォーマンスの大きな特徴のひとつが、「揃っていないダンス」。基本的にアイドルグループのダンスって、レベルの高い低いはさておき概ね揃っているものだと思います。だけどSixTONESは、ダンスを揃えない。それぞれが持つ違う形の魅力を、同じ型にはめ込むことなく自由に活かして最大限に引き出すことで、六者六様の輝きを放ち、それがSixTONESという大きなひとつの光に集束する。

でも彼はそれを「俺らダンス揃わないし」と言う。

"できない"のではなく"やらない"だけであることは、見ていればわかると思います。彼らは、このポイントだけは揃えないと、というアクセント的な振付は当然のように揃えてくるし、外部の目も光るここ一番の大勝負のステージではガッツリ揃えてくるので。

彼は「できるのはお喋りとラップだけ」と言う。

司会進行の意味でもHIPHOPの意味でもMC担当の彼ですが、MCはそれぞれはっきりとした個性を持つSixTONESの中で、そもそも大勢いるジャニーズJr.の中で、何か自分だけの強みを持たなければ、と努力して得た「自分の居場所」。それをわざわざ"お喋り"なんてアイロニカルな言葉選びで言うのも彼らしいなと思います。彼の司会進行は既に、まずお喋りと言っていいようなレベルではない。ラップも彼にしかない強い武器です。ジャニーズのラッパーと言えば櫻井翔田中聖や他にも色々いるけど、彼らの背中をただ追うのではなく、時代の流行りも取り入れながら。ラップこそ、今の自分を、今に至るまでのルーツを、目を逸らさずに見つめることから逃れられない表現手段なんじゃないかと思うのです。

あえてネガティブなワードを口にすることで、間違っても慢心しないように、浮かれて踏み外すことのないように、自分の今いる場所を冷静に認識して、自分に刻みつけているのかもしれないなと思っています。

アイドル、に限らずですけど人気商売って、他者からの評価で成り立つもので。もちろん人気商売以外も何事もそうですけど、特にそう。それも、好きだとか嫌いだとか公平性もクソもない漠然とした気持ちに左右される。絶対の正解は永遠に得られない世界だなあと思います。音楽も、芸術全般もそうですね。芸術に完成はありえないという。

ですが、彼はジャニーさんの言葉に大きな信頼をおいていて。ジャニーさんからの評価(と言ってしまうと言い方が冷たすぎますが)を大事にしている彼を見ると、水物の世界でひとつ揺るぎない指針を得られたことはとても重要なんだろうなと思います。

そんな彼の口から発された「ビルボード1位」「グラミー賞」という、めちゃくちゃにバカでかい夢。絶対がない芸術の世界でも、これはさすがに絶対的な評価と言い切ってしまってもいいでしょう。彼は、その評価を得たら「何かが変わる気がする」と、つまりはそこまでいかなければ何かは変えられない、と。確かにそれはまあ突き詰めれば究極はそうなのかもしれないけど……。ビッグマウスも即霞むシビアさ。面白い、という言い方はファンとして他人事すぎるような気もするけれど、めちゃくちゃ面白くて、もっとずっと見ていたいなと改めて思わされました。

 

 

さて、7800文字ですって。ちょっとした論文かよ。

各人のインタビューに思ったことを好き勝手述べてきましたが、本当に面白いインタビューでした。そもそも、ミュージシャンに深く切り込んでいくロングインタビューの雑誌に取り上げてもらえた時点ですでにめちゃめちゃ面白い。読者層はもちろんのこと、インタビュアーもアイドルや俳優、演劇系のカルチャーをやっているいつもの方たちでなく、おそらく初めて彼らにインタビューした方でしょうから、いつものTV誌やアイドル誌、ステージ誌とは違った彼らの言葉が読めるだろうと期待していました。

冒頭でも言いましたが、読みながら、個々に違うインタビュアー相手に語られたはずの六人の言葉が、まるで同一人物の言葉のように思える瞬間が何度もありました。もちろん彼らそれぞれの言葉であるのは当然理解しているのですが、彼らの見ているビジョンがブレず、合致していて、ひと塊になっているから。

「この六人で、自分たちが信じること、やりたいことをやりたいように自由にやる」「遠い目標を目指すのではなく、今自分の目の前にあることをしっかりとひとつひとつ積み重ねていく」という基本姿勢。自分自身をとことん客観的に理解して、自分にできること、自分が担える個性・キャラクターを突き詰めていく、という自己研鑽。一作目のデビューシングルで世間に知られた自分たちの現在地や需要を捉え、また国内だけでなく世界の音楽シーンにも意識を向け、これから自分たちが発信していく音楽、SixTONESのあり方を考える主体性と客観力。

そういうところが、六人の言葉の至るところから感じられました。ブレがなくて、ちぐはぐな方を向いている人がいない。それぞれに自分自身の力で自分らしく立ちながら、六人で同じ方向を見据えている。

これほどまでにアイドルとしてのアイデンティティが確立されている若いアイドルグループって、ちょっと他にないんじゃないかと思います。自分を理解して、見せたいように見せる実力があって、音楽への愛とこだわりがあって。

そんな彼らだから、与えられた楽曲をただ歌うだけに留まらず、彼ら自身のものとして楽曲を届けられる。彼らのパフォーマンスを見ていると、歌いたい歌を歌っているのだと肌に感じる瞬間が多々あります。

個人的に、彼らのライブに行きたい理由って、生で間近で見たいから……ではなく、彼らの奏でる音を生で感じて楽しみたいから、みたいな節はあります。実際ステージ上もモニターも見てない瞬間、結構ありました(それはそれでもったいない)。じゃあその瞬間何を見てたかって覚えてないけど、というか視覚的な記憶がほぼ曖昧なんですけど(脳がダメ)、終始最高に楽しかった記憶はバリバリあります。

本当に本当にマジで、「Imitation Rain」や「NAVIGATOR」のリリースをきっかけに彼らの音楽に興味を持った人全員に、マジで全員に、彼らのライブに行ってほしい。音源や歌番組でのパフォーマンスの比じゃないくらい惹き込まれるし、きっと想像以上に幅広い表現力を持ってるし、ソロ曲があったら同じグループで音楽やれてるのが奇跡なぐらい音楽性バラバラなパフォーマンスが見られるし、何より、音楽を聴いて自由に乗るのってめちゃくちゃ楽しいんだ、と心の底から思えるライブです。ぜひ。 

 

あとこの「音楽と人」マジで買ってない人いたらこればっかりは絶対に買っておいてください。ネットは在庫ないのかな、書店にはあるのかな、わからないですけど……何年か先に、ことあるごとに、読み返したい。いずれきっと、このインタビューがプレミアつくようなグループになると思います。期待。

 

まあ、とりあえず何よりも今はまず、普通にライブができるようになりたいですね。。それでしかないです。。

ちなみに、YouTubeに上がってるので私が一番好きなのはRAM-PAM-PAMです、他も捨てがたいんですが。。パフォーマンスのアイドルらしからぬ異質さに注目を集めがちですが、あとゴリゴリの重低音もマジで最高ですが、個人的には歌詞がすっげー好きです、SixTONESっぽくて。

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